愛、アムール
監督・脚本:ミヒャエル・ハネケ
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、エマニュエル・リヴァ ほか
老音楽家夫婦のジョルジュとアンヌにとって、それはアンヌの発作という形で突然訪れた。
食事の席でジョルジュの言葉に全く反応せず、しかし彼が席を外して戻ってみると、元通りになっており、自身に異変があったことも認識していなかったのだ。
検査の結果、病の存在が明らかになったアンヌだったが、手術において5%といわれた筈の失敗が起こり、右半身に麻痺が残ってしまった。
「病院には戻りたくない」という願いを受け、ジョルジュは自宅でアンヌと共に過ごすことを決める。
しかし娘のエヴァもめったにしか戻らず、二人だけの状況での介護は容易ではない。徐々に状態の悪化していくアンヌ、そしてジョルジュにもまた、最期のときは近づいていた―。(Wikipediaより引用)
画像は公式ホームページから引用。
ひとつの老夫婦を通じて静謐に描かれる愛の形。
そして、老介護の現実も厳しい視点で描かれていきます。
上品で美しく、毅然と振る舞っていた妻・アンヌが見る影もなく変わっていくさまは、非情なまでにリアルで、身につまされました。夫のジョルジュが孤独感を強め、頑なになっていく様子もとても切なく、観る者の心にせまります。
忍び来る暗い現実に押しつぶされそうになりながらも純粋になっていくふたりの愛情が悲しく、そして何よりも美しい映画でした。
基本的に静かで淡々と話が進行していくので、中盤あたりで少々退屈に感じることもあるかもしれませんが、その時はフランスの上流家庭がおくる高級アパルトマンでの暮らしや、重厚なインテリアなど美術の美しさを堪能するという別の楽しみ方をしてみてはいかがでしょうか。